
「沖縄でAIのことを相談できる人がいない」——自治体の担当者から、中小企業の経営者から、個人で仕事をしているフリーランスから、この1年で何度その言葉を聞いたかわかりません。
ChatGPTが世界を変えた2022年末からすでに3年以上が経ちました。にもかかわらず、「AIを使いたいが、何から始めればいいかわからない」「研修を検討しているが費用が高くて踏み出せない」「試してみたが、業務にどう組み込めばいいかわからなかった」という声は、沖縄の現場で今も絶えず聞こえてきます。
この記事では、2026年に私が立ち上げた「沖縄AI勉強会 WEVA(ウェバ)」について、その立ち上げの背景、活動の内容、参加方法まで、すべてをお伝えします。沖縄×AIというテーマで何かを動かしたいと考えているすべての方に、読んでいただきたい内容です。
WEVAとは何か、最初に伝えておきます
まず結論から。WEVAは「沖縄を拠点にAIを実践的に学ぶ、オープンなコミュニティ」です。
特定の企業や団体に属さない、独立したコミュニティです。敷居の高い研修でも、会員制のクローズドな組織でもありません。ChatGPTの使い方を知りたい事務職の方から、自治体のDX推進担当者、生成AIをビジネスに組み込みたい経営者まで、「AIを本気で使いこなしたい」という意思があれば誰でも参加できます。
参加方法はシンプルです。Discordというコミュニティツールを使い、オンラインでいつでも・どこからでも参加できます。深夜でも、離島からでも、育児の合間でも構いません。24時間365日、学びたい人が学べる場所として設計しました。
まず参加だけしてみたいという方は、公式LINEからご連絡ください。招待リンクをお送りします。
沖縄のAI現在地——2026年の「今」を正直に伝えます
「沖縄はAIで遅れている」という言い方は、正確ではありません。しかし「十分に進んでいる」とも言えない。それが2026年の沖縄の実情だと、私は感じています。
行政レベルで見ると、確実に動き始めています。沖縄県はDX推進計画のもと、情報通信関連産業と他産業の連携・共創によるDXを推進する「リゾテックおきなわ」を産業DXの柱として位置づけています。那覇市は2025年3月にNTTコミュニケーションズと「特化型生成AIの共同実証による未来協創連携協定」を締結し、市民サービス向上・行政事務効率化・AI人材育成の3軸での取り組みをスタートさせました。琉球朝日放送(QAB)はNECと共同でAIアナウンサーの導入を開始し、80カ国以上の言語に対応した多言語情報発信に動いています。
リゾテックEXPOは観光・教育・福祉・農業など全産業へのIT活用を広める県内最大規模のイベントとして年々規模を拡大しています。行政とIT産業が組んでAI活用を県全体に広げようとしている、その意思は間違いなくあります。
では、現場の中小企業や現場の職員はどうでしょうか。私がこの1年で自治体や企業の担当者と話してきた実感として言うと、「行政の動きはわかるが、自分たちの組織で具体的に何をすればいいのかわからない」という声が圧倒的に多い。決裁者がGoを出しても、現場に使える人間がいない。研修を受けたが定着しない。ツールを導入したが活用率が低い——この「動いているようで動いていない」状態が、沖縄の多くの組織の現在地です。
全国データを見ると、日本の生成AI企業導入率は2024年で25.8%と急増している一方、実際の業務活用率・定着率は国際的に低水準にあります。沖縄はこの「日本全体の課題」に加え、地理的に専門的な研修機関が少ないという固有の制約を抱えています。
この状況を変えるには、「研修を売る」以前に、AIについて気軽に話せる場所、継続的に学べる場所が必要だ——それがWEVAを立ち上げた直接のきっかけです。
なぜ「研修」ではなく「勉強会」なのか
研修とコミュニティは、似ているようで本質的に違います。
研修は「受けたらおわり」になりがちです。費用が高く、単発で、業務に戻った瞬間に忘れていく。特に生成AIのような、毎月のように新しいツールやアップデートが来る領域では、1回の研修で習得して終わり、という学び方が根本的に向いていません。
コミュニティは継続します。同じ課題を持つ人間が集まり、最新情報をシェアし、失敗談を出し合い、成功体験を分解して再現できる形にする。このサイクルが回る場所こそが、AI時代の学びに必要なものだと考えています。
WEVAは「コミュニティとしての勉強会」です。参加したら知識が降ってくる場所ではなく、「一緒に学ぶ仲間がいる場所」です。困ったときに聞ける人がいる。自分の事例を話すと、別の視点でフィードバックが返ってくる。そういう双方向の学びの場を、沖縄に作りたかった。
既存の勉強会・研修とWEVAは何が違うのか
沖縄にはすでに、AI関連の取り組みがいくつかあります。
OGAL(沖縄生成AI研究会)は、ITコーディネータ沖縄を中心に2023年から活動しており、月2回の内部勉強会を継続している実績ある組織です。参加者も着実に増え、企業向けの研修事業にも展開しています。ただし構成はITコーディネータ会員を中心とし、会員の紹介がないと参加しにくい面があります。真剣にAIを学びたい人材が、入口を見つけられないまま諦めてしまう状況が起きていると感じています。
沖縄商工会議所のAI講座や、県の先端IT人材育成事業(IT-X)なども動いています。しかしこれらは基本的に「決まったカリキュラムを期間内に受講する」形式であり、その後の継続的な学びの場としては機能しにくい。
WEVAが目指しているのは「入口が広く、出口が深い」コミュニティです。業種・職種・年齢・技術レベルを問わず入れて、深く学びたい人はどこまでも深められる設計にしています。
具体的な違いを整理します。
参加資格について:WEVAに紹介や会員資格は必要ありません。「AIを学びたい」という意思だけで十分です。
参加コストについて:基本的な参加は無料です。(別途、有償の研修プログラムもご用意しています)
継続性について:Discordコミュニティへの参加は継続型です。今月だけでなく、来月も来年も、同じ場所で学び続けられます。
アクセスについて:オンラインのため、那覇市内に限らず、うるま市・宮古島・石垣島・久米島など、沖縄全域どこからでも参加できます。本土在住で沖縄に興味のある方も歓迎します。
WEVAがDiscordを選んだ理由
「なぜZoomじゃないんですか」「LINEのほうがわかりやすくないですか」——参加を検討している方からよく聞かれます。
Zoomは「その場だけ」で終わります。セッションが終わったら、会話も資料も消えていく。継続的なコミュニティには向いていません。
LINEはグループチャットとして優秀ですが、大人数になるとスレッドが追えなくなる。テーマ別に会話を分けることが難しく、「あの情報どこに流れた?」という状況が頻発します。
Discordは「テキスト・音声・スレッド・ファイル共有」を一つの場所で扱えます。テーマ別のチャンネルを複数設定できるため、「ChatGPT活用の話はここ、自治体DXの話はここ、雑談はここ」と整理できます。非同期コミュニケーションにも強く、リアルタイムで参加できない人でも、後から会話の流れを追って参加できます。
私がこれを特に重視しているのは、沖縄の生活環境を考えると「リアルタイムに参加できる人だけのコミュニティ」には必ず限界が来るからです。育児中の方、夜間しか時間が取れない方、島の仕事で移動が多い方——そういう人たちが「自分には無理だ」と諦めない設計が必要でした。
Discordなら、深夜に「このプロンプト、なんでうまくいかないんだろう」と書き込んでも、翌朝誰かが答えてくれている。これが24時間365日の学びの場の本質です。
WEVAで扱うテーマ——何を学べるのか
WEVAのコミュニティでは、以下のテーマを継続的に扱います。勉強会の内容は参加者のニーズに合わせて進化させていきますが、2026年時点での主なテーマを示します。
ChatGPT・Gemini・Copilotのビジネス活用については、単に「使ってみた」レベルではなく、「業務フローのどこに組み込むか」「どんなプロンプトで再現性が上がるか」という実務直結の視点で扱います。
プロンプトエンジニアリングの基礎と実践については、「魔法の言葉を探す」アプローチではなく、なぜそのプロンプトが機能するのかという原理から入ります。原理がわかれば、ツールが変わっても応用できます。
自治体向けAI活用については、私が政府・官公庁のシステム構築を手がけてきた経験から、情報管理・セキュリティ・コンプライアンスの文脈で使えるAI活用と、使えないケースの区別を具体的に示します。
AI検索最適化(GEO:Generative Engine Optimization)については、生成AIが検索結果を生成するようになった今、従来のSEOとは別の情報発信の仕組みが必要になっています。自社サイトや自治体の情報発信をAI時代に対応させるための考え方を扱います。
画像生成AI・動画生成AIの業務活用については、Midjourney・DALL-E・Sunoなど、クリエイティブ系のAIツールを業務でどう使うかという実践的な内容を扱います。観光・広報・教育など、沖縄の産業と親和性の高いユースケースに絞って深掘りします。
業務フロー自動化については、MakeやZapierなどのノーコードツールとAIを組み合わせ、「繰り返しの作業を自動化する」具体的な設計を扱います。プログラミングの知識がなくても実装できるレベルの内容から入ります。
AIセキュリティ・情報漏洩リスクについては、「ChatGPTに社外秘の情報を入れていいのか」という問いに、正確な根拠を持って答えられるようにするための情報を扱います。怖がるのでも油断するのでもなく、正しく理解して正しく使うための内容です。
最新AI動向のキャッチアップについては、毎月のように変化する生成AIの世界を、「重要なことだけを効率よく把握する」方法とともに共有します。情報洪水に溺れないための選別と整理の仕方も扱います。
助成金・補助金を使えば、研修費用の負担は大きく変わります
「AI研修を導入したいが、費用が心配」という経営者・担当者の方へ、知っておいていただきたいことがあります。
人材開発支援助成金を活用した場合、中小企業は経費助成率75%・賃金助成額960円(1人1時間あたり)の支援を受けられます。10人の従業員に10時間のAI研修を実施した場合、研修費用の75%に加え賃金助成も受け取れる計算になります。「高くて踏み出せない」という状況を変えられる可能性があります。
さらに沖縄県には「沖縄DX促進支援事業補助金」という県独自の支援制度があります。AI・IoT等のデジタル技術を活用したDXに取り組む県内中小企業への補助で、導入計画の策定支援も含まれます。
ただし、助成金・補助金の活用には条件があり、申請のタイミングや手続きが複雑な場合もあります。「自社が対象かどうか確認したい」という場合は、WEVAのお問い合わせフォームからご相談ください。一緒に確認します。
また、沖縄県の先端IT人材育成支援事業(IT-X事業)は、県内IT技術者の育成・高度化を目的とした事業で、AIをはじめとする先端技術の学習支援を行っています。こうした公的な支援と、WEVAのようなコミュニティ型の学びを組み合わせることで、費用負担を抑えながら実践力を上げていくことができます。
沖縄×AIのキャリアは、これから確実に広がります
「AIを学ぶことが、沖縄でのキャリアにどうつながるのか」という問いは、特に若い世代から多く聞かれます。正直に答えます。
AIスキルを持つIT人材の市場価値は、全国的に高まり続けています。AIエンジニア・クラウド領域のITエンジニア求人倍率は常時2.1〜2.7倍で推移しており、経験者の採用競争は年々激しくなっています。この傾向は沖縄も例外ではありません。
ただし、「AI×沖縄」のキャリアには、全国とは異なる独自の可能性があります。
一つは、リモートワーク・フリーランスとして全国・世界の仕事を受けながら沖縄に住むという選択肢です。AIスキルは場所を問わない仕事の典型です。「沖縄にいながら東京の仕事をする」が現実になりつつある今、AIスキルはその選択肢を広げる力を持っています。
もう一つは、沖縄の地域課題とAIをつなぐ専門家としてのキャリアです。観光・農業・医療・福祉・教育——沖縄固有の産業課題とAI活用をつなげられる人材は、全国どこを探しても沖縄ほど必要とされている場所はありません。那覇市が生成AIの共同実証を始め、琉球朝日放送がAIアナウンサーを導入し、リゾテックEXPOが産業横断のDXを推進している今、「沖縄のことをわかっていてAIも使える人間」の価値は急速に上がっています。
もちろん「AIを学べば必ず仕事が増える」とは言いません。スキルと市場のマッチングには時間もかかります。ただ「今学ばない理由」は、どんどん見つけにくくなっています。
私がこの勉強会を立ち上げた理由
少し個人的な話をさせてください。
私がITの仕事を始めたのは1993年です。PC-98とMS-DOSの時代、NeXTSTEPというスティーブ・ジョブズが作ったOSを触り、インターネット黎明期にHTMLを書き、雑誌にHTML解説記事を寄稿していました。その後、政府・官公庁のWebサイトおよびシステム構築をプロジェクトマネージャーとして担当し、Google本社・Meta本社から自治体SNS専門家として招待を受ける機会もいただきました。
30年以上、IT業界の変化を現場で見てきた人間として言えることがあります。今回の生成AI革命は、これまでのどのテクノロジーの波とも性質が違います。
インターネットの普及期は「使える人と使えない人」に分かれましたが、格差が顕在化するのに10年かかりました。スマートフォンの普及は早かったが、「使えないと仕事ができない」レベルになるまでには時間がありました。生成AIは違います。2022年末から今まで、わずか3年余りで「AIを使いこなせる人」と「そうでない人」の間に、仕事の生産性・質・スピードで目に見える差がついています。
そしてその差は、東京と沖縄の間でも広がりつつある。東京には勉強会もコミュニティも選り取り見取りです。「今日の夜、どの勉強会に行こうか」という選択肢が存在します。沖縄には、まだそれがない。
「自分一人で学ぶしかない」という状況を変えたくて、WEVAを立ち上げました。誰かが最初の一歩を踏み出せる場所を作ることが、私にできる沖縄への貢献だと思っています。
ただし、正直に言います。WEVAはまだ始まったばかりです。完成されたコンテンツが揃っているわけでも、100人のコミュニティが動いているわけでもありません。一緒に作っていく場所です。「これから育てていくコミュニティの初期メンバーとして関わりたい」という方を、特に歓迎します。
こんな人に参加してほしい
具体的にどんな方に来てほしいか、正直に書きます。
ChatGPTやGeminiを聞いたことはあるが何から始めればいいかわからない、という方が最初の一歩を踏み出す場所として使ってください。
自治体でDX推進担当になったが現場でどう動けばいいかわからない、という方に実務で使える情報をお届けします。
会社でAI研修を検討しているが費用や導入の仕方がわからない、という経営者・担当者の方に伴走します。
フリーランス・個人事業主として生成AIをビジネスに組み込みたい、という方と一緒に事例を作っていきます。
ITが得意ではないが、業務の効率化にAIを使ってみたい、という方を歓迎します。専門用語を並べるつもりはありません。
沖縄在住で、東京の勉強会に参加できない悔しさを感じている、という方へ。WEVAをその代わりにしてください。
宮古島・石垣島・久米島など離島にいる、という方もDiscordなら関係ありません。場所の制約を解放することが、WEVAのコア設計です。
逆に言います。「とりあえずAIについて知っておきたい、情報だけ受け取ればいい」というスタンスには、WEVAは向いていないかもしれません。双方向に学ぶ場所です。自分の経験や疑問をシェアしながら、コミュニティとして育てていく意思のある方に来ていただきたい。
WEVAへの参加方法——Discordの入り方
Discordを使ったことがない方でも、5分あれば参加できます。手順をお伝えします。
まず公式LINEに登録してください。こちらのLINEリンクからお友だち追加いただくと、Discordの招待リンクをお送りします。
招待リンクを受け取ったら、スマートフォンの場合はApp StoreまたはGoogle PlayからDiscordアプリをインストールしてください。PCの場合はブラウザからでも使えますが、アプリのほうが快適です。
アカウントを作成してログインし、受け取った招待リンクをタップ(クリック)するとWEVAのサーバーに参加できます。
参加後は「自己紹介」チャンネルに一言書いてもらえると嬉しいです。職業・地域・AIについて知りたいこと、何でも構いません。
技術的に困ったら遠慮なくLINEで聞いてください。Discordへの入り方がわからないという相談も歓迎します。入口でつまずいて参加を諦める方が出ないよう、個別にサポートします。
WEVAに参加するうえで正直に伝えておくこと
参加すれば必ずAIを使いこなせるようになる、とは言いません。
WEVAはあくまで「学びの場」です。ここで得た情報や気づきを、自分の仕事や組織に持ち帰って試してみる、その実践がなければ何も変わりません。コミュニティに参加しても、自分が動かなければ結果は出ません。
また、WEVAは研修機関ではありません。資格取得のためのカリキュラムがあるわけでも、受講証明が出るわけでもありません。あくまでも「実践的に学ぶ仲間の場所」です。体系的に資格を取りたい、研修として費用を計上したいという方には、別途WEVA主催の研修プログラムをご案内しています。
さらに言えば、生成AIの世界は今も毎日変化しています。今日正解だった情報が、3ヶ月後には古くなっているということが珍しくありません。「一度学んで終わり」ではなく、継続的に学び続ける覚悟が必要です。WEVAはその継続を支える場所として機能したいと思っています。
それでもなお、「とにかく一歩踏み出してみたい」という気持ちがある方は、ぜひ来てください。完璧な準備ができてから参加しようとしていると、いつまでも始められません。わからないことがある状態で来るのが、コミュニティの正しい使い方です。
最後に——沖縄から、日本のAI活用を変えていく
大きなことを言うようですが、私はそれを本気で考えています。
東京発・大企業発のAI活用モデルではなく、沖縄発・中小企業発・自治体発のAI活用の成功事例を積み上げることで、全国のどの地方都市にも応用できるモデルを作ることができると信じています。
離島でも、予算が少なくても、IT担当者が一人しかいなくても、AIを使いこなして組織を変えた事例——それを沖縄から生み出すことが、WEVAの存在意義です。
沖縄のAI活用は、まだ始まったばかりです。だからこそ、今が最も面白い時期でもあります。
一緒に動きましょう。
著者:鈴木孝昌(株式会社WEVA 代表 / WEBCRAFTS / 沖縄マイクラ部プログラミングスクール「クロスウェーブ」主宰)
IT業務歴30年以上。政府・官公庁のWebサイト・システム構築をPMとして担当。Google Professional AI Certification取得。米Google本社・Meta本社より自治体SNS専門家として招待。WordPress公式オーガナイザー。沖縄県宜野湾市在住。
WEVAへの参加・AI研修のご相談は、お気軽にどうぞ。
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